海外FXの税金はどんなしくみなの?税金のしくみや納税のポイントを解説!

海外FXで利益を出した際、忘れてはいけないのが「税金」です。海外FXの税金は国内FXとは異なってきます。ルールをきちんと把握しておかないと、思いがけない額の税金が課せられてしまうことも。本記事では、海外FXの税金について、「税制」「法人」「確定申告」「節税」の面から、詳細に解説していきます。

海外FXと国内FXの税金の違いは?

海外FXと国内FXは、それぞれ適用される税制が異なります。

  • 海外FX→総合課税
  • 国内FX→申告分離課税

税制が異なるため、同じFXの利益でも税率が異なってきます。それぞれの税制、詳細を見ていきましょう。

海外FXは総合課税が適用される

海外FXで適用される総合課税では、給与所得などすべての所得を合算して税金を計算します。サラリーマンの方であれば、会社からもらった給料と海外FXの所得を合わせて税金を出していきます。給料以外にも、不動産収入などの所得がある場合も、すべて合算していきます。

海外FXで得た所得は「雑所得」に分類されます。雑所得は「一時的に生じた、継続性のない所得」です。国内FXや株式投資で得た所得も、雑所得のカテゴリーに含まれます。

総合課税では累進課税が適用される

総合課税では、累進課税と呼ばれる制度が適用されます。累進課税とは「所得額が大きくなるほど、税率が高くなる」制度です。適用される税率は下記のようになっています。

課税所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超 330万円以下 10% 97,500円
330万円超 695万円以下 20% 427,500円
695万円超 900万円以下 23% 636,000円
900万円超 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超 4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

(国税庁HP:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm)

所得金額が数千万円単位になると、半分ほどが税金でもっていかれてしまいます。FXの世界で、プロトレーダーともなると数千万単位の所得を得るのも普通になってきます。そこまでの境地に達すると、税金の額も非常に大きくなるのです。海外FXは金融商品の一種ではありますが、稼げば稼ぐほど税金が高くなるので注意してください。

国内FXは申告分離課税

国内FXでは「申告分離課税」と呼ばれる税制が適用されます。申告分離課税とは、所得をそれぞれ独立させて、合算せずに税率を算出する税制になります。申告分離課税で税金を出す場合、累進課税は適用されません。一律「20.315%」の税率が適用されます。

したがって、国内FXで数千万円単位の所得を得ても税率が高くなることはありません。海外FXであると、数千万円単位の所得を得ると、半分近くが税金でなくなりますが、国内FXであれば全体の20%程度の税金で済ませることができるのです。FXのみで生計を立てている人にとっては、国内FXの申告分離課税は非常に心強い制度といえます。

海外FXの税金は個人と法人で異なる?

海外FXの税金は、個人か法人化で扱われ方が異なってきます。扱われ方が異なると、当然のことながら適用される税金も変わってきます。所得金額によっては、個人よりも法人で海外FXを行う方が節税につながることがあります。それでは、個人・法人それぞれで海外FXの税金がどのように扱われるか、見ていきましょう。

個人の場合は「雑所得」扱い

個人が海外FXで得た所得はすべて「雑所得」の扱いになります。雑所得は「一時的に生じた所得」という考え方がされるため、「損失」という概念がありません。したがって、海外FXを総合課税で合算する際は「所得額のみ」を見ます。損失額は考慮されません。

たとえば、年間で100万円の海外FX所得を得たとします。そのうち、損失が50万円だとすると、トータルの利益は50万円になります。通常であれば、この「50万円」に課税されるのですが、雑所得の場合は損失を引く前の「100万円」に課税されます。50万円しか手元に残っていないのに、100万円分の税金を支払う必要があるのです。

法人の場合は「事業所得」扱い

法人が海外FXを行って所得を得た場合、その所得は「事業所得」という扱いになります。法人は個人とは異なり、所得税は課せられません。その代わりに「法人税」が課されてきます。法人とは株式会社や合同会社、NPO法人など「法律的に人格が与えられているもの」を指します。形こそ違いますが、個人の所得税のように税金を支払う義務が生じます。

法人だと累進課税は適用されない

法人税は、法人の規模によって税率が変わってきますが、累進課税は適用されません。したがって、どんなに所得を得ても税率は一律固定となります。法人税の税率は下記の通りです。

法人の区分 税率
普通法人 23.4%
中小法人(所得が年800万円以下) 15.0%
中小法人(所得が年800万円超) 23.2%

中小法人とは、普通法人の中で「資本金額が1億円以下」の法人を指します。ただし、大法人(資本金額が5億円以上の法人)の傘下にある場合は、資本金額が1億円以下でも普通法人の扱いになります。

法人の所得が800万円を超えてこないと、個人で海外FXを行う場合とそこまで税金は変わってきません。したがって、法人化して海外FXを行う場合は実質「23.2%」の税金がかかかってくると考えましょう。

サラリーマンでも法人設立は可能

海外FXを法人として行う場合、まずは法人設立をしなければなりません。実は、法人の設立はサラリーマンの方でも行うことが可能です。税法上、給与所得をもらっている人が法人設立することは禁止されていません。税理士への書類作成依頼などを含めて、30万円ほどの費用で法人を設立できます。

ただ、問題となってくるのは「勤め先に法人設立がバレてしまわないか」という点です。会社によっては副業を禁止しているところもあるので、法人設立はなるべく会社にバレない方が何かと都合が良いですよね。法人設立が会社にバレないためには「住民税の支払い」を自分で行う必要があります。

というのも、会社に副業や法人運営がバレてしまうきっかけが「支給給与に対して、課税されている住民税が高い」ということだからです。経理を通じて、住民税が高いことが上に伝わってしまうと、副業・法人運営がバレてしまいます。確定申告の際に「住民税の申告を独自で行う」よう記入すれば、住民税の通知が自宅に直接届くようになります。会社側に住民税の額を知られることがないので、結果的に副業・法人運営がバレるきっかけがなくなります。

海外FXの税金はどうやって納める?

海外FXで所得が発生した場合、税金は自分で手続きをして納めなくてはいけません。サラリーマンとして給料をもらっているだけであれば、税金は会社の経理が「年末調整」という形で処理してくれます。ただ、海外FXの所得は年末調整では扱われません。むしろ、会社側にバレないためにも、自身で税金を申告する必要があります。

海外FXの税金は「確定申告」で納める

海外FXの税金は「確定申告」で納めます。確定申告というと、個人事業主や中小企業の経営者が行うイメージが強いですが、サラリーマンの場合でも確定申告を行うことがあります。確定申告は毎年3月に実施され、この時期に提出をしないと確定申告を完了できません。確定申告は書類の準備に意外と手間がかかります。確定申告の期限間際になって慌てないよう、事前に準備を進めておくのが大切です。

確定申告が必要な人は「所得額」で決まる

海外FXで所得を得ていても、すべての人が確定申告を求められる訳ではありません。サラリーマンなどの給与所得者の場合、海外FXによる年間利益が20万円を超えると確定申告を行う必要があります。主婦や学生など、給与所得者以外の人は、海外FXの年間利益が38万円を超えた場合に、確定申告が必要です。年間利益20万円、38万円という数字は、FXに時間をかけている人であれば割と到達しやすい数字です。「海外FXを行ったら、確定申告に行く」という認識をもっておいた方が、申告漏れを防げます。

利益ではなく「所得額」で税金を計算する

海外FXの税金計算では、利益でなく「所得額」で決定されます。これは雑所得の「一時的な所得」という性質に由来するもので、「損金」という考えが雑所得には適用されないためです。年間の利益が所得と損失でちょうど相殺されたとしても、所得金額分の税金を支払う必要があります。トータルでマイナス損失となっている場合でも同様です。したがって、海外FXを行う際は「損失」の管理に注意を払う必要があります。

脱税は絶対にNG

海外FXであれば、日本の税務署にはバレないだろう」と考えている方が少なからずいます。ただ、この考えは改めなければなりません。というのも、海外FXに対する監視の目は年々強くなってきているからです。日本の金融庁は、海外から多額のお金が日本国内の口座に振り込まれた場合、その口座情報を報告するよう銀行に義務付けています。

なので、海外FXで誰が利益を出しているのか、お見通しなのです。海外FXでこれまで確定申告をしなくても、特に通知がこなかった方は、税務署に泳がされている可能性が高いので、必ず申告するようにしてください。

海外FXの税金を減らすには?

海外FXの税金を減らすには「節税」「法人化」「海外移住」が有効な手段になってきます。左から順に、取り組みやすい内容となっていますが、右にいくほど税金を減らす効果が高いです。まずは「節税」の内容から見ていきましょう。

税金をしく減らすには「節税」が大事

節税とは「余計な税金を払わないために、課税所得の減らすこと」を指します。節税というと「税金そのものを減らす」というイメージが世間にありますが、正しくは「課税所得を減らす」ことが節税の手法になります。たとえば、サラリーマンの方であれば、自身の給料が課税所得の対象となります。

経費計上が節税の基本

  • 節税のためには「経費」を増やすことが重要
  • 個人の海外FXでも経費計上ができる
  • 経費計上できる項目は「海外FXの利益獲得に関わっているもの」
  • 具体例として、海外FXの書籍代、セミナー代などがある

節税で課税所得を減らすには「経費」を増やすことが重要になります。同じ所得額でも、経費計上をしているか否かで、納税額が変わってくるためです。個人の海外FXでも経費計上は可能になっています。経費計上できるものは「海外FXの利益獲得に関わっているもの」に限定されます。たとえば、下記のものは海外FXの経費として計上できます。

  • 海外FXの書籍代
  • 海外FXのセミナー参加代
  • 海外FXを行っている部屋の家賃の一部
  • トレードで使用するパソコン、ネット代の一部 など

海外FXの書籍代、セミナー代は海外FXの利益獲得に直接つながるため、全額を経費として計上可能です。海外FXを行っている部屋やトレードで使うパソコン代などは、100%海外FXで使用するとは限らないので、金額の一部を経費として計上できます。割合は使用度合いにもよるのですが、個人の場合だと金額の3割ほどが目安です。

法人になると経費計上の範囲が広がる

海外FXを法人化して行うことで、節税を強化することが可能になります。法人になると、個人のときよりも経費計上できる範囲が広がります。備品類はほぼすべて経費で落とすことができますし、事務所の家賃も8割ほど経費として計上できます。法人の事務所全体が1つの体のようなイメージで、法人運営に必要なものはほぼ全て経費にできます。

また、法人化すると海外FXの所得と他の所得の黒字・赤字を合算して税率を出せるようになります。これを「損益通算」と呼びます。個人だと、海外FXの所得を損益通算することはできないので、法人ならではの節税方法といえますね。

究極の節税は「海外移住」

海外FXの究極の節税方法が「海外移住」です。億トレーダーと呼ばれる、年間で数億円以上の利益を出しているトレーダーの多くは、日本ではなく海外でトレードを行っています。海外の中でも、ドバイなどトレーダーに対する税制が優遇されている国に移住する人が多いです。海外FXは、ネット環境さえあれば世界中どこでも行うことができます。

税制が優遇されている国の中では、FXで得た所得に対して税金が課せられないところもあり、日本と比べるとはるかに税金額が少なくなります。億単位で稼げるトレーダーにとって、日本国内で海外FXを行うメリットはほとんどありません。税制が有利な国で海外FXをした方が、最終的に多くお金を残すことができます。

まとめ

海外FXの税制と国内FXの税制は、ルールが根本的に違います。税制の優遇度合いで見ると、国内FXの方が有利といえます。ただし、国内FXの場合、証拠金以上の損失が発生すると「追証」という形で、損失分を追加で入金しなければいけません。海外FXであれば、証拠金以上の損失額はFX会社側が負担してくれるので、万が一のときでも負債を抱える心配がありません。リスク管理の面でみると、海外FXの方が優れているでしょう。

海外FXで発生した税金は、確定申告をして必ず納めなくてはいけません。「海外FXだからバレないだろう」と考えてしまうと、後々見つかった際に追加で税金を納めることになります。海外FXの税金を減らすためには、経費計上を細かく行って、課税所得を減らしていくことが有効です。経済的に余裕のある方は法人設立、海外移住も節税の選択肢として挙げられます。

海外FXの税金を理解して、少しでも多く自分の手元にお金を残せるよう、できることから行動していきましょう。

おすすめの記事