米0.5%利上げ示唆、マーケットは0.75%折り込みも?

みなさん、お疲れ様です!
この記事では、先週の相場分析と今週の相場のポイントをファンダメンタルズテクニカルの両方の観点から考察をした記事になります。

みなさんの今週のトレードの手掛かりに少しでもなれば嬉しいです!
なにか疑問点や質問等がありましたら、無料で入れる「Poundman Trade Information」にて聞いて頂ければお答えします!

先週の相場まとめ

先週のポイント

・RBAがサプライズ利上げ
・FOMCは予想通り利上げ
・英中銀は予想通り利上げ
・雇用統計は強弱入り混じる結果
・株価は軟調

RBAがサプライズ利上げ
豪準備銀行(RBA)理事会で政策金利が0.10%から0.35%へ予想以上に引き上げられ(市場予想は据え置きが多数)、声明で、インフレ抑制に向けた追加利上げも示唆されたことで豪ドル買いで反応。
ロウ豪準備銀行(RBA)総裁が「今後数カ月の間に更なる利上げが必要になるだろう」「インフレは予想よりも早く、高い水準となった」「40bpの利上げを含む選択肢も検討した」などの見解を示すと、豪ドル米ドルは一時0.7128米ドル付近まで上昇しました。
FOMCは予想通り利上げ
米連邦準備理事会(FRB)は3∼4日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場予想通りFF金利の誘導目標を0.75-1.00%に引き上げること(0.5%の利上げ)を決定し、保有資産を圧縮する「量的引き締め(QT)」も決定した。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がFOMC後の会見冒頭で「インフレはあまりにも高い」と発言すると米金利上昇とともにドル買いが先行し一時130.38円と日通し高値を付けたものの、その後失速、「今後2回の会合で0.50%の利上げを検討」「0.75%利上げは積極的に検討しているものではない」などと発言すると、急激な金融引き締め観測が後退し、米金利低下とともにドル売りが活発化し4時前には一時128.63円と日通し安値を更新しました。
英中銀は予想通り利上げ
英MPC(英中銀)は政策金利を市場予想通り現行0.75%から1.00%に引き上げることを決定、利上げは4会合連続で、利上げ決定は全会一致(ソーンダース、マン、ハスケルの3名は0.5%利上げ支持)
MPCのメンバー6人は0.25%の利上げを支持、残り3人は0.50%の利上げを支持したことで、発表直後は英金利上昇・ポンドは小幅に買われたが、同時に発表されたインフレーションレポートでBOEが2023年は経済が縮小する(GDPを-0.25%と予測)との見解などが示されると、英10年債利回りは1.97%台から1.80%台まで急低下しポンドは大幅下落しました。
雇用統計は強弱入り混じる結果
米雇用統計は非農業部門雇用者数変化が42.8万人増(市場予想は39.1万人増)、失業率が3.6%(市場予想は3.5%)、平均時給が前月比0.3%、前年比5.5%(市場予想は前月比0.4%、前年比5.5%)となり、強弱まちまちな結果となりました。
まちまちな結果にマーケットの反応は限定的。
株価は軟調
FRBの引き締めを嫌気して株価は軟調に推移。
0.75%の利上げ予想も出てくる中で、パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で今後2会合で0.5%利上げを示唆し、0.75%の利上げを否定したことで株価は反発上昇しました。ただ長続きはせず、週末には再度金利が上昇し米国株式市場でダウ平均は続落、3月8日以来約2カ月ぶりの安値を更新、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も続落し、20年11月以来約1年半ぶりの安値で取引を終了しました。

今週の相場見通し

まずは、長期、中期、短期の方向性を再確認していきます。

長期(1カ月〜3ヶ月) 中期(~1ヶ月) 短期(~1週間)
相場全体 リスクオフ リスクオン リスクオン
ドル円 上昇 上昇 上昇
ユーロドル レンジ 上値重い 上値重い
ポンド円 レンジ 上値重い 下落
ゴールド 上昇 上昇 底堅い
ダウ レンジ レンジ 上値重い

それでは、今週のポイントについてみていきましょう!

今週のファンダメンタルズ注目点

今週の注目指標

5月9日(月曜日)
08:50 JPY 日銀金融政策決定会合議事要旨(3月17日分)
22:00 GBP ソーンダースBOE外部理事発言

5月10日(火曜日)
18:00 EUR ドイツZEW景況感指数
18:00 EUR ユーロ圏ZEW景況感指数
20:40 USD ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁発言
21:30 USD ボスティック・アトランタ連銀総裁発言

5月11日(水曜日)
02:00 USD 米3年債入札
02:00 USD ウォラーFRB理事、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁発言
02:20 EUR デギントスECB副総裁発言
04:00 USD メスター・クリーブランド連銀総裁発言
08:00 USD ボスティック・アトランタ連銀総裁発言
09:30 AUD 豪Westpac消費者信頼感指数
10:30 CNY 中国CPI(消費者物価指数)
15:00 EUR ドイツHICP(消費者物価指数)(改定値)
15:00 EUR エルダーソンECB専務理事発言
17:00 EUR ラガルドECB総裁発言
21:20 EUR シュナーベルECB専務理事発言
21:30 USD 米CPI(消費者物価指数)
23:30 USD 原油在庫量

5月12日(木曜日)
02:00 USD 米10年債入札
08:50 JPY 日銀金融政策決定会合における主な意見(4月28日分)
15:00 GBP 英1∼3月期GDP(速報値)
21:30 USD 米PPI(生産者物価指数)・失業保険申請件数

5月13日(金曜日)
00:35 CAD グラヴェルBOC副総裁発言
02:00 USD 米30年債入札
04:00 USD デイリー・サンフランシスコ連銀総裁発言
15:45 EUR フランスHICP(消費者物価指数)(改定値)
16:00 EUR スペインHICP(消費者物価指数)(改定値)
16:00 EUR デギントスECB副総裁発言
23:00 USD ミシガン大学消費者信頼感指数

5月14日(土曜日)
00:00 USD カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁発言
01:00 USD メスター・クリーブランド連銀総裁発言
02:00 USD ベイカーヒューズ社リグカウント

今週のファンダ分析のポイント

1)経済指標

ポイント!

注目の経済指標は?

  • 米CPI(消費者物価指数)に注目!
  • 米PPI(生産者物価指数)に注目!
  • 英GDPに注目!

11日21:30 米CPI(消費者物価指数)

米国では物価高が問題となっていて、FRBは物価を抑える為に引き締め政策を進めています。
なので物価がどこまで上昇しているのか、CPI(消費者物価指数)に注目が集まっています。

FRBは先週のFOMCで0.5%利上げを発表し、今後2会合でも0.5%利上げを示唆していますが、マーケットは0.75%の利上げを織り込もうとしています
米国の物価が市場予想を上回っていた場合や、前月の結果を上回っていた場合は次回FOMCで0.75%の利上げをさらに織り込みドル高が進むのではないかと注目しています。

 

12日21:30 米PPI(生産者物価指数)

PPI(生産者物価指数)は製造過程の製品や原材料などの価格を指数化したものです。
原材料などの価格が上昇すれば、コスト増加に繋がり商品価格に転嫁され、結果的に物価上昇に繋がります。
上記のCPI(消費者物価指数)でも書いたように米国では物価高が問題となっていて、PPI(生産者物価指数)が予想以上に上昇していれば、今後のCPI(消費者物価指数)上昇に繋がる可能性が高く、ドル買いに繋がるのではないかと注目されています。

 

12日15:00 英GDP

先週発表された英国のインフレーションレポートでは経済見通しが下方修正されポンド売りが進みました。
今週発表される1∼3月期のGDP速報値が予想を下回ると、見通しよりも景気後退が懸念され、引き締め期待が後退しポンド売りが進む可能性があります。
今回のGDPは速報値なので予想と結果が大きく乖離する可能性があり、ポンド売りが大きく加速する可能性があるので注目です。

 

2)要人発言

ポイント!

注目の経済指標は?

  • FRB要人発言に注目!
  • ECB要人発言に注目!
  • BOE要人発言に注目!

FRB要人発言

FRBは先日のFOMCで0.5%利上げを発表し、6月からQT(資産縮小)スタートも発表しました。
パウエルFRB議長は記者会見で0.75%利上げの可能性を否定し今後2会合で0.5%利上げを示唆、市場では0.75%の利上げを予想する部分もあり一時はドル売りが進みました。

今週はFOMCが明けて、要人発言が多数出てきます。
今後2会合で0.5%利上げなのか、0.75%利上げの可能性はないのか、QT(資産縮小)の加速はないのか、発言内容に注目です。
再度0.75%の利上げを織り込むようであればドル買いが進む可能性が高いのではないかと注目しています。

 

ECB要人発言

ECBも年内利上げに踏み切るのではないかと注目が集まっています。
ECB要人発言から、どのくらいの理事がタカ派になっているのか、利上げ時期や利上げペースをどのように考えているのか発言内容に注目です。
利上げ期待が高まればユーロが底堅くなるのではないかと注目しています。

 

BOE要人発言

英国では物価上昇と景気後退が注目されています。
物価上昇を抑える為の利上げを優先させるのか、利上げをすることで景気を冷やす可能性があることから景気を優先させて物価上昇を放置するのか、英中銀がどちらに進むのか発言内容に注目しています。
先週の政策を見ると利上げ幅は0.25%に控えて、インフレーションレポートでは景気見通しを下方修正されていたところを見ると、物価よりも景気を優先させたのではないかと感じます。
そうなると利上げ期待は後退しポンド売りが進む可能性が高いのではないかと思います。
今週の要人発言から、英中銀の方向性に注目していきたいと思います。

 

3)リスク要因

ポイント!

今のリスク要因は?

  • ウクライナ情勢に注目!
  • 中国リスクに注目!
  • 円安要因に注目!
  • ジョンソン政権リスクに注目!

何事もなければマーケットに影響はありませんが、急な変動に繋がるリスクがあるので一応注意しておきたいところを以下にまとめました。

ウクライナ情勢

5月9日はロシアの記念日でウクライナ侵攻の節目になるのではないかと注目しています。
ロシアの侵攻が次のステップに進まないか、生物兵器や化学兵器、核兵器などを使用しないか注目です。
生物兵器や化学兵器や核兵器などを使用した場合は欧米も動き出すのではないか、制裁を強化するのではないかと思います。
欧米の制裁が強化された場合、資源などの価格上昇などのリスクにつながる可能性があるので注意しておきたいと思います。

 

中国リスク

中国ではコロナ感染拡大によりロックダウンの拡大と継続が注目されています。
中国はゼロコロナを目指し、強いロックダウンを実施していることから経済がストップ、景気後退が懸念されています。
中国の景気後退は世界的に影響することから、中国のロックダウン拡大や継続は世界の景気後退懸念に繋がるので注意しておきたいと思います。

 

円安要因

欧米などで引き締め期待が高まり金利が上昇しています。
日銀は緩和政策を維持し、YCC(イールドカーブ・コントロール)の継続を発表、指値オペを実施しています。
世界的金利の上昇から日本の金利もつられて上昇した場合、指値オペの可能性があり、金利差拡大から円安が進む可能性があります。
最近のマーケットは円安が中心になることが多いので、金利と指値オペ、円安に注意しておきたいと思います。

 

ジョンソン政権リスク

先週末に実施された英国の地方選挙では与党が敗れ、ジョンソン首相の求心力はさらに低下しています。
昨年末のロックダウン中のパーティー問題などから首相辞任の可能性が高まっている状況での地方選挙大敗です。
ジョンソン政権崩壊の懸念からポンド売りが進むのではないかと注目しています。
政権交代の可能性が高まれば、EU離脱の交渉などにも影響するのではないかと注目しています。
今後のジョンソン政権に注意しておきたいと思います。

    今週の通貨毎の分析

    本日も各通貨ペア毎に見ていきます!

    ドル円

    スタンス:買い目線

    ポイント
    ・CPI(消費者物価指数)
    ・指値オペ

    ポンドマン
    ドル円は買い一択なんだけど、買い場が欲しいね!

    基本は買い目線。
    ドル高円安の要因は以下の2点。
    ・FRBの利上げ(引締め)政策によるドル高
    ・日銀の緩和政策継続と貿易赤字による円安

    円安トレンドが終わることは考えにくく、ドル円は買い方向で考えています。
    ただ、高値掴みはしたくないので、CPI(消費者物価指数)の発表や要人発言で下げたところを丁寧に拾っていきたいと考えています。

    ユーロドル

    スタンス:買い目線(様子見)

    ポイント
    ・ウクライナ情勢
    ・要人発言
    ・CPI(消費者物価指数)

    ポンドマン
    ユーロドルは買い場を探したいけどタイミング待ちだね!

    今の所ユーロの上値は重いですが、ユーロを売るには難しいタイミングなので買い場を探したい。
    要人発言から7月利上げが見えてくるとユーロは底堅くなり、ユーロドルの買うチャンスに繋がるのではないかと考えています。

    また、FRBが利上げを始めたことから利上げを織り込んでしまうとドル買いが落ち着き、ユーロドルの上昇に繋がります。
    FRBとECBの要人発言に注目し、ユーロドルの買い場を探したいと思います。

    ポンド円

    スタンス:売り目線

    ポイント
    ・政治不安
    ・円安要因
    ・GDP

    ポンドマン
    英国政治不安からポンドは売りたい!

    ポンドは政治不安から売られやすくなっています。
    また、ロシアへの制裁の影響も出ていると思われます。
    ただ円安が進んでいることでポンド円はレンジを形成しています。
    ここから円安がどこまで進むかによりますが、ポンド円の上値重い展開、下落の可能性も高くなると考えています。
    FRBは利上げを発表しましたが、まだ追加利上げを期待しドルは買われやすいようです。
    ポンド売りの場合はポンドドルで売ったほうがいいと考えています。

    ゴールド

    スタンス:買い目線

    ポイント:リスク要因・インフレ・ドル高・FOMC

    ポンドマン
    ドル高進むと割高感が強くなるからゴールドの上値が重くなるかな!?
    ゴールドは長期で見た場合、インフレが上昇している間はインフレヘッジとしてゴールド買いが入りやすい状況だと考えています。
    また、逆イールドが出ている状況なので、どこかで景気後退、株価下落によるゴールド買いが出てくるのではないかと考えています。
    ただ、短期的にはドル高・ドル安に影響されやすいと考えています。
    なのでドル高が進めば割高感からゴールド安、ドル安が進めば割安感からゴールド高に進むのではないかと考えています。
    今週はFOMCや雇用統計が発表されるのでドル高が進むとゴールドが下げる可能性が高く、ゴールドが下げたところを買っていきたいと考えています。
    逆イールドとは
    国債の利回りで短いもの(6か月や1年・2年など)から中長期(10年や30年など)の利回りを結んだ曲線。
    通常は短いものほど利回りは低く、中長期になるほど利回りは高く、右肩上がりの二次曲線を描きます。
    これが短いものと長いものの利回りが逆転して、右肩下がりになったり山型になったりすることを逆イールドと言い、景気後退のサインだと言われています。
    ゴールドの相関性
    ✔️金利との相関性
    金利上昇 → ゴールド売り

    金利低下 → ゴールド買い

    ✔️リスク要因との相関性
    リスクオン相場 → ゴールド売り
    リスクオフ相場 → ゴールド買い

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