ウクライナ情勢を巡るヘッドライン相場でコモディティ価格が暴騰!

みなさん、お疲れ様です!
この記事では、先週の相場分析と今週の相場のポイントをファンダメンタルズテクニカルの両方の観点から考察をした記事になります。

みなさんの今週のトレードの手掛かりに少しでもなれば嬉しいです!
なにか疑問点や質問等がありましたら、無料で入れる「Poundman Trade Information」にて聞いて頂ければお答えします!

先週の相場まとめ

先週のポイント

・カナダ中央銀行は0.25%の利上げを発表
・パウエルFRB議長は議会証言で利上げ示唆

・米雇用統計は労働市場の堅調ぶりが示される結果
・ウクライナ情勢を巡るヘッドライン相場

カナダ中央銀行は0.25%の利上げを発表
BOC(カナダ銀行)は、市場予想通り0.25%の利上げを発表、政策金利を0.5%から0.75%に引き上げました。
また、声明文ではロシアによるウクライナ侵攻を受け不確実性が高まる中でも金利を引き上げる必要があると、4月追加利上げの可能性を示唆したことでカナダドル買いが優勢となっています。
パウエルFRB議長は議会証言で利上げ示唆
注目されていたパウエルFRB議長の半期に一度の議会証言で、3月FOMCで0.25%の利上げを示唆しました。
3月のFOMCは0.5%利上げと0.25%利上げで不透明感がありましたが、パウエルFRB議長が0.25%利上げを示唆したことで不透明感が後退しています。
米雇用統計は労働市場の堅調ぶりが示される結果
米国労働省が発表した2月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比67万8000人増と市場予想の40万人増を大幅に上回り、失業率は3.8%と2020年2月以来の水準に改善しています。
一方、賃金の伸びは減速し平均時給は市場予想の5.8%を下回り前年同月比では5.1%増と前月から伸びが鈍化、労働参加率は62.3%に小幅上昇、25-54歳の同参加率は2020年3月以来の高水準となっています。
コロナ禍で働けなかった人たちが戻ってきて求職者が増えたことで企業は高い人件費を払わなくても人が集まるようになり、平均賃金の低下に繋がっています。
求職者が増えても失業率が悪化しなかったことも、労働市場の堅調さがうかがえる結果となっています。
ウクライナ情勢を巡るヘッドライン相場
先週もウクライナ情勢が目まぐるしく変化し、マーケットは大きく動きました。

月曜日
・欧米が国際送金システムであるSWIFTからロシアの一部銀行を排除するとともに、ロシア中央銀行に制裁を課した
・ロシア経済に大きな影響が出るうえ、ロシア産の天然ガスや原油などの供給不安からリスクオフが進みマーケットは下窓開けてのスタートとなった

火曜日
・対ロシア制裁強化とウクライナでの戦況激化が意識され、債券利回りの低下と原油高からユーロが売られユーロが対ドルで1年8カ月ぶりの安値更新
・米国をはじめとする主要国が石油備蓄からの協調放出で合意したものの、ロシアへの制裁が拡大する中で深刻な供給不足に対する懸念を和らげることはできず、原油先物価格は続伸し2014年7月以来の高値107.30ドルまで上昇

水曜日
・石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」が大幅な追加増産を見送ったことで原油価格は上昇し、WTI原油先物価格は一時112.46ドルまで上昇

木曜日

・ロシアを巡る懸念からWTI原油先物価格は2012年5月以来の高値116.50ドルまで一時上昇、ただイラン核合意再建協議がまとまり原油供給が増えるかもしれないとの期待が進むと106.50ドル付近まで下落
・ウクライナ情勢を巡っては、実施された2回目の停戦対話で民間人が避難するための「人道回廊」の設定を巡る理解が得られた
・原油高がユーロの重しとなりユーロは下落、対英ポンドでは2016年以来の安値を更新、対ドルでは2020年5月以来の安値を記録

金曜日
・ロシア軍が南東部にある欧州最大級のザポロジエ原子力発電所を攻撃し火災が発生したとの報道やロシア軍がザポロジエ原発を占拠したとの報道
※報道を受けてユーロ売りが進み、ユーロは対スイスフランで7年ぶり安値を更新、1.2%安の1.0025フランと、パリティ(等価)に近づいた
・ウクライナ情勢の深刻化に伴うエネルギー供給逼迫(ひっぱく)懸念を背景に、WTI原油価格は115.68ドルと2008年9月以来の高値更新、週間で26.3%の上昇

今週の相場見通し

まずは、長期、中期、短期の方向性を再確認していきます。

長期(1カ月〜3ヶ月) 中期(~1ヶ月) 短期(~1週間)
相場全体 リスクオフ リスクオフ リスクオフ
ドル円 上昇 レンジ 底堅い
ユーロドル 下落 下落 上値重い
ポンド円 レンジ 下落 上値重い
ゴールド 上昇 上昇 上昇
ダウ レンジ 下落 上値重い

それでは、今週のポイントについてみていきましょう!

今週のファンダメンタルズ注目点

今週の注目指標

3月8日(火曜日)
07:30 AUD ブロックRBA総裁補佐発言
19:00 EUR ユーロ圏四半期GDP(確定値)
22:30 USD 米貿易収支
22:30 CAD カナダ貿易収支

3月9日(水曜日)
03:00 USD 米3年債入札
05:15 AUD ロウRBA総裁発言
08:30 AUD 豪Westpac消費者信頼感指数
08:50 JPY 日本10~12月期GDP(改定値)
10:30 CNY 中国CPI(消費者物価指数)

3月10日(木曜日)
EU首脳会議
00:30 USD 原油在庫量
03:00 USD 米10年債入札
21:45 EUR ECB理事会・政策金利・声明文・スタッフ予想発表
22:30 EUR ラガルドECB総裁記者会見
22:30 USD 米CPI(消費者物価指数)・失業保険申請件数

3月11日(金曜日)
EU首脳会議
03:00 USD 米30年債入札
16:00 GBP 英GDP
16:00 EUR ドイツHICP(消費者物価指数)
17:00 EUR スペインHICP(消費者物価指数)
22:30 CAD カナダ雇用統計・失業率

3月12日(土曜日)
00:00 USD ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)
03:00 USD ベイカーヒューズ社リグカウント

今週のファンダ分析のポイント

1)ウクライナ情勢

ポイント!

ウクライナの注目ポイントは?

  • 軍事侵攻に注目!
  • 制裁に注目!
  • コモディティ価格に注目!

ウクライナ情勢によるリスクオフは今週も継続する可能性が高いと注目しています。

軍事侵攻

ロシアは先週、ウクライナを完全掌握することを目標として、ロシアは目標達成に向けて順調に進んでいると言っています。
今週もウクライナ掌握のためにロシア軍の侵攻は続くのではないかと注目しています。

対してウクライナはNATOに対してウクライナ上空の飛行禁止区域設定を要求しましたがNATOは拒否、ロシアはNATOによる飛行禁止区域設定は参戦を意味すると牽制しています。
ウクライナ・ロシア・NATOなど、どこまでの行動をするのか、どこまでの制裁を科すのか、新たなヘッドラインが出てこないか注目です。

ロシアに対する制裁

先週はロシアの一部銀行をSWIFTから排除、ロシア中銀に対する制裁などが発表されました。
SWIFTからの排除やロシア中銀に対する制裁は効果が大きく、ロシアルーブルは大きく下落しています。

民間からも制裁が始まり、VISAやMastercard、アメックス、PayPalなど決済会社(決済代行)がロシアでの決済を停止、ロシアで発行を停止、ロシアで発行したカードの停止など、決済ができない状況となっています。

このように世界の官民からの制裁がどこまで進むのか注目です。

 

コモディティ価格

ロシアに制裁を課したことでロシア産の天然ガスや原油、鉱物資源などの輸出がどうなるのかが注目です。

原油価格は週明けWTI先物市場で一時130ドルを記録、ゴールドは2000ドルを記録するなどコモディティ価格が急騰しています。
原油やゴールドだけでなく、小麦など穀物、パラジウムなど非鉄金属など幅広い商品が急騰しています。

コモディティ価格の上昇は物価上昇に繋がり、物価上昇は消費意欲の低下、景気後退の懸念に繋がります。
インフレと景気後退が同時に起こるスタグフレーションの懸念に繋がります。
制裁と併せてコモディティ価格の上昇に注目です。

2)ECB理事会

ポイント!

インフレ・経済見通しは?
今後の政策見通しは?

  • 声明文に注目!
  • スタッフ予想に注目!
  • 記者会見に注目!

ECB理事会

10日21:45 ECB理事会
10日22:30 ラガルドECB総裁記者会見

注目度 かなり高い
織り込み度 据え置きを織り込み済み
バイアス ユーロ安

ポイント:インフレ対応の引き締め加速か!?、景気後退を懸念から引き締め後退か!?

ウクライナ情勢を抜きにしても物価高が進んでおり、年内利上げの可能性が進んでおり、ユーロ買いが進んでいましたがウクライナ情勢により状況が一変しています。
ロシアがウクライナに進攻したことで欧米諸国はロシアに対して制裁を科し、天然ガスや原油価格が上昇しています。
このことで欧州の物価は大きく上昇する可能性が高くなっています。
ECBが物価高を抑える為に引き締めを加速させるようであれば、ウクライナ情勢が落ち着けばユーロ買いが再開するのではないかと考えています。

ただ、ECB理事会メンバーからは景気後退を懸念して、引き締めを急ぐべきではないとの発言も出てきており、ウクライナ情勢が逼迫するようであればユーロ売りが加速するのではないかと考えています。
今週のECB理事会でどのような景気・インフレ見通しが出てくるのか、物価上昇を意識しているのか、景気後退を意識しているのか、緩和か引き締めか、声明文や記者会見に注目です。

 

3)経済指標

ポイント!

注目の経済指標は?

  • 米CPI(消費者物価指数)に注目!
  • ミシガン大学消費者信頼感指数に注目!
  • 豪指標に注目!

10日22:30 CPI(消費者物価指数)

先週の雇用統計では平均時給が予想を下回り、人件費の高騰に落ち着きが見え始めたのではないかと思います。
ただ、ウクライナ情勢などから原油価格は上昇し、エネルギーだけでなく穀物や資源まで上昇しています。
今回のCPI(消費者物価指数)にはロシア進攻以降の物価上昇は影響してないと思いますが、それを抜いた物価がどこまで上昇しているのか注目です。
予想を上回り、前月以上の物価上昇を見せるようであれば、FRBの利上げ加速が進むのではないかと注目しています。

12日00:00 ミシガン大学消費者信頼感指数

米国では物価上昇が加速しています。
先月までの数字では米国の消費は堅調ですが、物価上昇が続くようであれば消費意欲が低下してしまいます。
物価上昇による消費意欲の低下が見えてくるようであれば、スタグフレーションの可能性も出てくるのでミシガン大学消費者信頼感指数の結果に注目しておきたいと思います。

 

豪指標・発言

9日08:30 Westpac消費者信頼感指数

ウクライナ情勢による地政学リスクから地理的に遠い豪州はリスクオフの影響を受けにくく、豪ドルは堅調に推移しています。
また、ロシアへの制裁で原油や天然ガス、穀物などの代替先として豪州産の需要が高まるのではないかと注目を集めています。
このような状況で、Westpac消費者信頼感指数の数字が良い結果となれば、豪ドル買いのキッカケとなるのではないかと注目しています。

その他にも要人発言がキッカケで豪ドル買いが進む可能性もあるので注目しています。

 

今週の通貨毎の分析

本日も各通貨ペア毎に見ていきます!

ドル円

スタンス:買い目線

ポイント
・ウクライナ情勢
・CPI(消費者物価指数)
・ミシガン大学消費者信頼感指数

ポンドマン
ウクライナ情勢でも下値は堅いので、押し目買いしていきたい!

基本は買い目線。
引き締め政策を進めるFRBと緩和政策を継続する日銀の政策の違いからドル買い・円安が進むのではないかと考えています。
また、コモディティ価格の上昇は日本の貿易赤字に繋がり、貿易赤字による円安も出てくるのではないかと考えています。

ポイントはいつまでリスクオフが続くのか?

ロシアが侵攻し続け、新たなヘッドラインが出てくる間はリスクオフが進むと考えています。
それでも円高とドル高でレンジが続くと考えています。
なのでレンジ買い回転で取引、そしてロシアの侵攻が当たり前のようになってくるとリスクオフは後退していくと考えています。
そうなれば円安が進みドル円は上昇して高値更新を目指せるのではないかと思っています。

 

ユーロドル

スタンス:売り目線

ポイント
・ECB理事会
・要人発言
・ウクライナ情勢

ポンドマン
ユーロは当面買えない・・・

ユーロドルは売り目線。
ロシアの侵攻に対する制裁でコモディティ価格が上昇し、経済的に繋がりの深い欧州は大きく影響しユーロ売りが止まりません。
リスクオフでユーロが売られていることに加えて、景気後退の懸念からECB理事から引き締めを後退させる発言が出始めています。

ECB理事会で景気見通しが下方修正され、引き締めを後退させるような発言が出てくるともう一段のユーロ売りが進む可能性が高いと考えています。
先週まではリスクオフが後退すればユーロ買いだと思っていましたが、ECBの方針転換が出てくるようであればリスクオフが後退してもユーロ売りが続くと考えています。

ユーロ売り要因
・ロシアに制裁を科したことでエネルギー不足となり欧州経済に影響が出る
・ウクライナ難民が欧州の経済の重しとなる
・ウクライナ情勢を鑑みECBが引き締めを後退させる可能性
ユーロ買い要因
・ウクライナ情勢による地政学リスクが後退する
・スイス中銀による為替介入

スイス中銀はユーロ安フラン高を嫌います。
週明けのユーロフランはパリティ(等価)割れしていることから、いつ為替介入が出てきてもおかしくない状況
フラン高を嫌い、スイス中銀が為替介入する可能性があり、ユーロが瞬間的に買われる可能性があるので要注意です。

ポンド円

スタンス:買い目線(様子見)

ポイント
・要人発言
・リスク要因

ポンド円は買い目線で考えます。
英中銀の追加利上げの期待感は強く、ポンドを下支えしています。

ただ、利上げ期待も少しづつ織り込まれ、材料としては弱くなってきています。
ここからのポイントはウクライナ情勢がポンドにどこまで影響するのかです。
ユーロほどではないにせよ、地理的に近いポンドは上値が重くなり方向感が出にくい状況となりそうです。
ウクライナ情勢に関するヘッドラインが材料視されなくなってきたときにポンド買いが始まるのか様子を見ておきたいと思います。

 

ゴールド

スタンス:買い目線

ポイント:リスク要因・インフレ

ポンドマン
ウクライナ情勢によるリスクオフでゴールドは買いだけど、高値掴みには要注意!
ウクライナ情勢によるゴールド買いが継続すると考えています。
ロシアと欧米諸国の制裁は継続し、地政学だけでなくコモディティ価格の上昇空景気後退の懸念まで出てきています。
このことで株式市場にも資金を入れづらい状況で安全資産としてゴールドが買われやすくなってきています
また、債券市場を見てみると逆イールドが懸念される状況となっていることから、ゴールドの需要は高まるのではないかと見られています。

ただ、高値圏にあるので高値掴みにならないようにだけは注意したい。
ヘッドライン相場なので、急騰の後に急落なんてこともあるので注意しておきたいと思います。

逆イールドとは
国債の利回りで短いもの(6か月や1年・2年など)から中長期(10年や30年など)の利回りを結んだ曲線。
通常は短いものほど利回りは低く、中長期になるほど利回りは高く、右肩上がりの二次曲線を描きます。
これが短いものと長いものの利回りが逆転して、右肩下がりになったり山型になったりすることを逆イールドと言い、景気後退のサインだと言われています。
ゴールドの相関性
✔️金利との相関性
金利上昇 → ゴールド売り

金利低下 → ゴールド買い

✔️リスク要因との相関性
リスクオン相場 → ゴールド売り
リスクオフ相場 → ゴールド買い

免責事項

・投資・投機はいかなる場合においても「自己責任」です。投資判断の最終的な決定は皆さま自身の「自己責任」の元行うものとし、投資資産のいかなる損失等が発生しても当サイト並びに運営者は責任を負うことはできません。

おすすめの記事